ダイバーシティ推進準備会 diversity

2019 12 10
インタビュー

お互いの障がいを理解し、助け合える「仲間」と働く素晴らしさを(株式会社スミセイハーモニー)

住友生命の本社が入るOBP城見ビル。その6・7階に事務所を構える株式会社スミセイハーモニーへ取材に訪れました。

 

従業員の8割以上が障がい者という住友生命の特例子会社では、生命保険の手続き書類の受付やイメージデータ化など、重要な事務作業を担っています。

障がいのある方が主役となって働く職場とはどんなものなのか。実際に職場を見学させていただき、そこで働く方々のお話をうかがってきました。

 

 

さまざまな障がい特性をもつ従業員がいきいきと働く

左から:企画部・業務推進役 梶原さん、業務部・保全第4グループ・グループ長 岩橋さん、人事総務部・担当部長 吉満さん

 

スミセイハーモニーでは、さまざまな障がい特性をもつ方が働いています。2001年の設立当初は30人だった障がい者の従業員数は、現在170人に。
従業員全体の8割以上が障がいのある方という、まさに障がい者が主役の職場です。

 

「ここ数年では身体障がい者だけでなく、精神障がい・知的障がい・発達障がいの比率が高くなっています」と話すのは人事総務部・担当部長の吉満さん。

スミセイハーモニーで働く方の障がいは多岐に渡り、適切な対応や配慮はそれぞれ異なります。そこで大切になるのが「助け合い」や「コミュニケーション」です。

プライバシーに配慮したカウンセリングルームや、手話の勉強会、iPadを使用した情報共有など、さまざまな配慮がなされています。

 

困ったことがあればすぐに相談ができるカウンセリングルームには、専門支援員(臨床心理士・精神保健福祉士・キャリアコンサルント)がいていつでも悩みを話せます。月平均100件ほどの相談があるそうです。

また、手話教室も定期的に開かれており、聴覚障がいの従業員とのコミュニケーションを積極的に図れるような取り組みがなされています。全職員にiPadが貸与され、音声を文字に変換するソフトなどを使い、打ち合わせや面談時などに活用されています。


すべての障がい者にやさしいバアリアフリー設備

オフィス風景

 

職場を見学していると驚くのが、障がいのある方が本当に働きやすい環境に整備されていることです。

 

たとえば、事務所を構える6階のフロアと7階のフロアでは、働く方の障がい特性に合わせて環境を変えています。「6階には主に精神障がいや発達障がいなどで他の人が出す音が気になる方や、一人で黙々と作業をしたい方が働いています」と吉満さん。一方、7階のフロアにはスキャナーの機械などの機械音も聞こえます。

 

さまざまな障がい者の特性に配慮した工夫は、他にもあります。時計の横に設置されたパトライトと呼ばれるランプは、聴覚障がい者の方に時間を知らせるため。時計と連動しており、9時の始業時・12時のお昼休みなどに、音とともに光ります。また、車椅子用のトイレは数が少ないため、ビル内全ての使用状況が分かるよう使用中はオフィス内のランプが点灯します。

 

光で時間を知らせるパトライト

 


トイレの使用状況を知らせる表示灯

 

グループ長が先頭に立つ、従業員同士のコミュニケーション

障がい者が働きやすい制度や工夫は、会社が主導となっておこなうだけではありません。実際の現場でも、積極的に従業員同士のコミュニケーションが取られています。

 

「異なる特性をもった職員同士の”架け橋”となれるよう意識しています」

そう話すのは、会社の設立当初から職員として働く「グループ長」の岩橋さん。スミセイハーモニーの20年に渡る変遷を見守ってきた方のひとりです。

 



スミセイハーモニーの多くのグループ長は、部署ごとに皆さん10名程度の部下を抱え、業務の指示やサポートをおこなうリーダー的役割を担っています。社内には現在16名のグループ長がおり、全員が障がいのあるメンバーです。

 

「グループ内にはいろんな障がい特性を持った職員がいます。たとえば聴覚障がいの方と他の職員とのコミュニケーションなど、職員間の”橋渡し”をどうすれば上手くできるか、難しさを感じることも。」と、岩橋さん。

 

グループ内のミーティングでは、それぞれの従業員がお互いに必要とする配慮を共有します。しかし、ときにはグループ長のみに話したい悩みやお願いごとを相談する人も。

 

グループ長である岩橋さんは、一人ひとりの部下に対する配慮も忘れません。一人ひとりの表情の変化を毎日見たりしながら配慮するようにしています。週に1度、グループのメンバーと交換日記で個人間のコミュニケーションを図り、従業員同士の橋渡しの役割になるよう意識しているといいます。

 

円滑なコミュニケーションのためには手話の勉強も惜しみません。「手話は伝えたいという

”気持ち”があれば、相手も読み解こうとしてくれるので伝わるんです」と話す岩橋さんの手話の評価は高いそうです。

 

 

障がい者それぞれの特性を尊重し、助け合う

さまざまな障がいがある従業員同士のコミュニケーションを重視して助け合う姿勢は、社内の随所に現れています。

 

たとえば、本社の住友生命が考案した「いいね!カード」。職員同士がお互いの頑張りや成果、気遣いなど「いいね!」と感じた点を記入し、本人へ渡します。一緒に働く仲間を褒め合い感謝を伝えるといった気持ちのよい雰囲気づくりをおこなっています。ほかにも、手話の勉強会や、新年会などのイベントには、部署やグループを超えてたくさんの職員が参加します。

 

身体障がい者、精神・知的・発達障がい者といった、一見するとまったくばらばらの特性をもった方々が気持ちよく”調和”する、スミセイハーモニーのあたたかい雰囲気を感じる取材となりました。

 

 

取材後記

「バリアフリーについて今後どのようになれば良いとお考えですか」という私たちの質問に対して、「障がい者だとか健常者だとか考えずに暮らせる社会だと良いな!と思います。誰でもできることと、できないことがあって、そこをお互いに補い合あうことが大切だと思います。」と言い切る岩橋さんの言葉には、障がい者が主役となって働く社風がはっきりと窺えました。どんな特性を持っていてもお互いを尊重し合う姿勢は、遠くない将来、一般の企業にも浸透していくはずです。