ダイバーシティ推進準備会 diversity

2020 2 21
インタビュー

すべてのお客様に、よいコンサートを。 「身障者接遇研修」が生む、レセプショニストの誇りと笑顔 (いずみホール)

OBPエリアの南東に位置するいずみホールは、クラシック音楽専用ホール。

一般財団法人住友生命福祉文化財団によって運営される、開館30年を迎えた老舗ホールです。

 

そのいずみホールが、年に1度、障がいを持つ方・サポートする方をご招待して行う「夢コンサート」。

202018年目を迎えます。

そのコンサートに合わせて毎年行われる「身障者接遇研修」について、レセプションマネージャーの3名にお話をお聞きしてきました。

 

老舗ホールの「お客様を迎える心構え」

 

「公演時に、お客様をご案内する役目がレセプショニスト。

私たち『レセプションマネージャー』は、レセプショニストを統括するロビーの責任者として、ロビーに立っています」

 

左から、細川元之さん、田中裕子さん、藤本恵以子さん(3名ともに、業務部レセプション・マネージャー)

 

レセプションマネージャー10年目の田中裕子さんは、「いずみホールのレセプショニストたちは、接客が大好き。

いつもは、どのような接客が良いだろうかと話し合い、それぞれの意見を尊重し合いながら働いています」と語ります。

 

夢コンサートの開催初年度から実施されているのが、「身障者接遇研修」です。

 

「当日は600700名もの身障者の方がお越しになります。

車いすやストレッチャーをお使いの方、目の不自由な方、盲導犬をお連れの方…。

すべての方にコンサートを楽しんでいただくために、障がいをお持ちの方と、ヘルパーの方を講師としてお迎えし、研修会を行います」

 

コンサートホールという特性上、バリアフリーには完全対応できていない、という田中さん。

「ホールには階段も多くあります。安心・安全に公演を楽しんでいただくためには、スタッフの力が必要です」

 

実践的な研修

 

身障者接遇研修では、来場客を入り口で迎えるところから、席への案内、売店やトイレへの誘導まで、一連の流れを教わります。

研修内容は、主に「視覚障がい」と「車いす」の方への対応。実践的な知識を学ぶため、レセプショニストのほとんどが参加するといいます。

 

 

 

細川さんは、初めて研修を受けたときは、加減が分からなかったと語ります。

「目の不自由な方が相手だと、どこまで手で支えたり、歩いたりすればいいのか、距離感や速度感が見えませんでした。

もし間違えたら、怪我をさせてしまう…と不安が先行しました」

 

 

同じくレセプションマネージャーの藤本さんは、アイマスク体験に緊張したとか。

「アイマスクをして階段を歩く研修で、手引きする側・される側の両方を体験しましたが、日頃見知っている場所であっても恐怖でした。

初めてホールを歩く方の気持ちを知れたのは、とても良かったです」

 

当初は事故防止など、リスク対策として始まった研修会。しかし今では、「お客様のために学びたい」という意識がしっかり定着している様子がうかがえました。

 

コミュニケーションこそ、レセプショニストの仕事

 

研修内の講師への質問タイムも、学びの多い時間です。

 

「講師もレセプショニストひとりひとりをしっかり見て、親身に接してくれます。

人と人のコミュニケーションを改めて学べる機会です」細川さんは、そう語ります。

 

「はじめはどうしても、車いすの押し方などの技術面が気になります。

しかし3回目くらいに、講師の『聞いてください』の意味が実感できました」と、田中さん。障がいの有無ではなく、ひとりひとりの「求めること」に向き合う必要がある、と気付いたそうです。

 

「それは、レセプショニストの仕事そのものです」

 

受講したレセプショニストの声


今回、研修を受けたレセプショニストからも感想をいただくことができました。

▪️ホールでお客様がけがをされたときに、車いすの使い方を研修で学んでいるので、素早く準備して、とっさのときにも迅速に対応できました(吉澤さん)
▪️
介助者と被介助者が異性の場合でも、同性のスタッフがお手洗いにご案内できる(山口さん)
▪️
実際にアイマスク体験や車いす体験をすることで、被介助者の方がどう感じるかを知り、慣れ親しんだホールの景色にも毎回違う気付きがある(坂井さん)
▪️
普段車いすを押す機会がないので、研修で学ぶことで、現場で準備ができる(松本さん)

日頃から多様な対応が求められるレセプショニストにとって、学びの多い研修となっているようです。

 

アルバイトからのキャリア、仕事の楽しみ

 

現在、レセプションマネージャーとして勤務する3人は、レセプショニストとしてのアルバイトが入社のキッカケとのこと。

 

藤本さんは、16年間の勤務を経て、おととしマネージャーになりました。「いずみホールでの勤務の魅力は、仲間の存在。

みな接客が大好きで、目の前のお客様にどう接しようか、常々考えています」

 

細川さんは、学生時代にアルバイトを始め、卒業後に入社しました。

「接客のアルバイトは初めてでしたが、サービス業に興味を持てました。

お客様は毎回変わります。時代も変化していくので、柔軟な対応も求められますし、常に課題も出てきます。

しかし、それが難しくも面白いところです」

 

レセプショニストとしての誇り

 

いずみホールで活躍するレセプショニストは約40名。各公演には約15名のレセプショニストが配置され、ゲストを迎えるといいます。

 

 

「夢コンサートだけではなく、いずみホールに来られるすべての障がい者の方にコンサートを楽しんでいただきたいという想いで、研修を受けています」と笑顔で話す藤本さん。

 

田中さんからは、「何年も経験を積み、ノウハウも溜まりました。

接遇の知識というより、心構えの部分で『大丈夫』と思えます」という心強い言葉が聞けました。

 

「レセプショニストの個性もさまざま。意見を活かし合いながら働ける職場を、大切にしたい」

「自分達を高め、いいサービスを提供するために接遇を学んでいる」

 

そう考える3名のマネージャーが活躍する限り、いずみホールは多種多様なゲストに感動を届けるホールであり続けるでしょう。

 

取材後記

 

取材を通じて感じたのは、チームの仲の良さ。

送別会では、レセプショニストの仕事から離れるのが名残惜しく号泣するスタッフもいるようです。

「身障者接遇研修会」がテーマの取材でしたが、健常者の方と、接客の目的は同じ。

「すべてのゲストにコンサートをお楽しみいただくために、車いすや身体サポートを学ぶことが必要」という意識が、ホールの接遇レベルを高めていると、強く実感できた取材でした。

 

 

☆いずみホールではちょうど現在レセプショニストを募集中です。

 

詳しくは以下のリンクからHPをご覧ください。

http://www.izumihall.jp/event/receptionist2014.html