vol.22 女性から始めるダイバーシティへの取り組み 小さな交流からエリアを変える

少子高齢化が進み、「ダイバーシティ」の文字が踊り出した昨今。皆さんのまわりでもこの言葉は既に登場しているのではないでしょうか。
OBPでのダイバーシティへの取り組みもまた、始まっています。2017年度より「ダイバーシティ推進準備会」が発足。
OBP Style vol22は、OBPのダイバーシティ推進への取組みを追います。

多彩な能力を秘めたOBPエリア

ダイバーシティとは今や、性別、人種、キャリアや価値観など、多様性を受け入れるだけでは終わりません。それぞれが持つ違いを「個性」と捉え、それぞれの個性を集合させて総合力を高めたり、個々の特性を適材適所で活かし生産性を高めたりすることを主な方針とする企業も増えてきました。
こうした点を踏まえOBPを見渡すと、実に様々な企業が集まるエリアであり、そこには多彩な能力を持つワーカーが集合しているので、大きな可能性を秘めたエリアであると言えるでしょう。

OBPを広く知らせる「ダイバーシティ推進準備会」

OBPを広く知らせる「ダイバーシティ推進準備会」

そんな奥深さを持つOBPを、「内外に広く発信したい」「OBPの価値をさらに向上させて街の成長につなげたい」と、2018年4月に発足されたのが「ダイバーシティ推進準備会」。
OBPエリアで働く女性10名で構成されています。

OBPがまちづくりをする上での課題

4万人を超えるOBPワーカーの4割以上が女性だということはご存知でしょうか?
それにも関わらず、OBPのまちづくりを進めるべく設立された「大阪ビジネスパーク協議会」の理事会には女性のメンバーがゼロ、運営委員会においてもまだまだ少ない比率である課題を抱えています。
例えば、「OBPエリアの夜道は暗くて怖い所がある」という声が挙がったことで初めて協議会側も気付かされることもあったようです。

まずは女性が活躍できるエリアを目指す

もちろん、「ダイバーシティ」が指し示す範囲は広く、女性に限ったことではなく、まちづくりをするうえでも、女性以外に、男性、身体障害者の方、外国籍の方など、それぞれからの視点・問題意識が欠かせません。
今後さらに参加者を広げていかなくてはならないという意味を込め、「ダイバーシティ推進“準備”会」と名付けられました。
そして、2018年度の活動は「女性」をテーマに動き出したのでした。

OBPの女性ワーカーが主役のイベント

まずは女性が活躍できるエリアを目指す

ダイバーシティ推進準備会の女性をテーマとした企画は2018年度より始動しています。
最近メディアで注目が集まる「ハーバリウム」作りのワークショップなど、トレンドを押さえた企画に交流会をプラスするというイベントを行っているそうです。

そんな交流会の次なる企画として2019年2月6日には「世界ライフスタイル図鑑 東南アジアの女性の生き方・働き方」と題する勉強会&交流会を実施。
ツイン21ビル24階のフィリピン総領事館と、松下IMPビル2階のインドネシア貿易振興センターの協力のもと、OBP女性ワーカー20名が集まりました。
ワークショップ形式とはまた違い、「女性の進学や就職・結婚について」「女性政治家の影響について」「育児や共働きに対する支援について」「外国で暮らすということについて」の大きく分けて4つの話題から展開されるパネルトーク形式のイベントです。

パネリスト

パネリストは、フィリピン人と国際結婚された在大阪フィリピン共和国総領事館 総領事室の通訳官を務める、サントス 佐宜子氏(写真右)と、2018年にインドネシア人の夫・子供と共に来日された、在大阪インドネシア共和国総領事館 インドネシア貿易振興センター副所長のセプティカ トゥリ アルディヤンティ氏(写真中央)。

話に聞き入るワーカー

東南アジアの女性活躍先進国と言われる両国の女性パネリストもまた、OBPワーカーです。そんな2人から話されるライフスタイルやキャリアの話題に、聴く側の女性ワーカーは真剣な眼差しで話に聞き入っていました。

お互いを知る機会はすぐそばにある

お互いを知る機会はすぐそばにある

女性の社会進出が当たり前のフィリピン、家を守るのが女性の役目のインドネシア、など、同じアジアの国でも女性のあり方が大きく異なるようです。
参加者の皆さんは真剣に聞き入っています。女性の家事・育児といった生活に密接した話題になると、時に自身の抱える現状の悩みからか「いいなぁ〜」と、声も漏れ聞こえました。
パネリスト、参加者と立場は分かれていますが、締めの交流タイムではそんな立ち位置もフラットに。お互いに感想や疑問をシェアする時間となりました。
参加した女性ワーカーの皆さんは普段交わることのないメンバーですが、仕事をしている上では共感のできる点も多々あるようです。

また、同じエリアに来ている方がどのように働いているのか知り、自分だけではなく同じ考えを持つ人がエリア内にいるということを知るだけでも、何か心強いものが生まれるのかもしれません。

時間は必要だが、着実に進めたい

舟越事務局長

ダイバーシティ推進準備会の中心となるOBP協議会の舟越事務局長へ、今後のOBPにおけるダイバーシティの展望を伺うと、
「時代が動いていることもありますが、OBPの企業でも徐々にではあっても女性のリーダーが増えつつあるように思います。企業の動きが変わることで、OBP協議会ひいてはOBPエリアへの良い影響が出てくると期待しています。
ダイバーシティというのは大変大きなテーマであり、一朝一夕にエリアが変わるのは難しく年月が必要です。しかし、続けること、あきらめないことが大切。まずは、今課題としている女性が声を挙げやすくすることが第1歩だと考えています。
また、来年は身体障害や発達障害の方の理解を深める機会はどうかという意見も出ています。1年で1テーマを取り上げて、様々なテーマにおいて気づきの場をつくりたいと思います。」
とお話されました。このようなダイバーシティへの取り組みを続ける意義については、
「始まりは女性をテーマに挙げますが、もちろん男性、LGBT、キャリア、異国籍、障害者など、様々な立場の方の意見を取り入れることを目指しています。
ダイバーシティが進むということは、結局まちのバランスが取れてくることなのだと思います。多くのワーカーにとって過ごしやすいエリアになれば、自ずとOBPへの愛着も生まれるのではないでしょうか。」
と語られました。

ワーカーが意見を伝えやすい環境づくりを

ワーカーが意見を伝えやすい環境づくりを

ダイバーシティ推進準備会のメンバーで事務局として活動されている保本さんにお話を伺ったところ、
「OBPでダイバーシティの取り組みに携われることで、私自身に非常に良い影響をいただいています。普段働いている会社では決まったことが下りてくるので、その流れに身を任せていた部分がありました。しかし、自分の意識が高まったことで、OBP協議会での動きにとどまらず、会社ではどうなっているのか、他地域ではどのような取り組みがされているのかなど、身近な問題意識として捉えるようになりました。
OBPにおいてのダイバーシティ推進はまだまだ始まったばかりで「成果」が残せていませんが、女性だからこその意見を伝えやすい環境づくりをしていきたいと思います。」
と意気込みを語ってくださいました。

メンターに出会える場所として

参加者の皆さん

ダイバーシティ推進準備会の目的のひとつには「メンター」に出会う機会づくりもあります。
OBPは企業の枠を越えた横の繋がりが希薄であるという声が聞かれますが、このような交流の場では小さな繋がりがあちらこちらで生まれています。
これらの小さな交流をいかに深めてより強固な繋がりへと変えていくのか、それはまた次のステージの話になるのかもしれません。
しかし、キャリアや人生を考える中で少し立ち止まってしまったときに、このようなサードプレイスの場で出会った人がやがて「メンター」として支えになることもあるでしょう。
OBPのダイバーシティ推進準備会から生まれるものもまた、総合力や生産性を超えて人生を豊かにしてくれる「人の絆」なのかもしれません。

Wanted!

OBP Style では、特集記事のネタを募集しています。
OBP内のイベントや活動、人、場所あるいはOBPに対する疑問、もっと知りたいことなど。
大阪ビジネスパークに関するテーマ限定ですが、様々なテーマを掘り上げていく予定です。
ぜひこのテーマをというのがおありでしたらご一報ください。
ご連絡は『OBPスタイル編集部』まで 

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