OBPエリアと大阪城公園との間に事務所を構える大阪水上バス株式会社。大阪城港を横目に出勤されるワーカーの方も多いことでしょう。
OBP Styleのためにエリアを囲む川を巡る特別コースで周遊いただいた今回の取材。川からどのようなOBPの姿が見えてくるかを探ります。
川に挟まれたコンパクトなビジネス街
OBPの地形は、寝屋川と第2寝屋川と、玉造筋の脇を走る線路を境にした三角形のエリアになります。
電車や徒歩などで住宅地のエリアを通り過ぎると、突如背の高いビルが出現し、コンパクトにまとまっている風景は印象的です。
約26haというこの地に、4万人超えのビジネスパーソンや、観光客が集まる、それがOBPです。
かつては通勤船としても活躍
今回は大阪水上バス株式会社(以下、大阪水上バス)が運営する「水都号アクアmini」に乗ってOBP探訪です。
ちなみに運航を担っている大阪水上バスのはじまりは通勤船。日中は観光船を営業しながらも、朝夕は「旧淀川」と呼ばれた大川を行き来してビジネスパーソンを運んでいたそうです。時代とともに需要も少なくなり、2005年には通勤船を運航休止とするものの、OBPをはじめとしたビジネス街への貢献は大きかったと想像できます。
片面ずつ時代を楽しめる場所
OBPの良さのひとつは、やはり大阪城エリアと隣り合っていることでしょう。
大阪城港を出てクリスタルタワービルまでの間は、両サイドで今昔を楽しめます。片側には江戸時代に大阪城が作られた当時の石垣が続きます。石垣を壁にしてクルーズできるのは全国的にも珍しいそうです。
このような水門も。
砲兵工廠として武器・弾薬工場の一大拠点とされていた明治時代に、武器の材料などを搬出入するための水門だったようです。終戦日前日には砲兵工廠を標的として爆弾が降り注ぎ、大阪城一帯は壊滅。この水門はそんな戦火をくぐり抜けた名残りです。
一方反対側には、OBPで最も新しいビルがもうすぐオープン。
読売テレビの新社屋です。
OBPを囲む「水都」感は大阪ならでは
大阪城港から玉造筋の手前まで、OBPを囲む2辺に沿った川。その距離は短いにも関わらず、渡っている橋は4本。水に囲まれたOBPであることを実感できます。
案内いただいたのは、20年近く勤務されている水上バスのベテラン、営業部の中田課長。
「大阪はやはり橋が多いと思いますし、低いのは特徴的ですね。お客様にも下を通る時に『かがんでください』という事が多々あります。10年前に『水都大阪2009』が行われた際、すべての橋に名前が付けられ、私たちも随分案内がしやすくなりました。」と大阪の橋事情を教えてくださいました。
川の汚れ・景観は徐々に良くなっていっている
OBPエリアを長年仕事場とされている方の多くは「昔は大川が汚かった」とコメントされます。
中田課長に川の様子について伺うと、「以前よりも良くなってきたと思います。とは言え、まだまだ夏場の匂いや、雨が降った後に上流からゴミが流れてきたりするので、きれいになったとは言い切れないのかもしれません。眺めで大きな変化と言えるのは、『水都大阪2009』を境にホームレスの方のブルーシートが見えなくなったことでしょうか。景観の面では大きな変化だと思います。」
と、今では気づくことのできない変化もお話くださいました。
圧倒的な高層ビル郡
大阪城港を離れてすぐに目に飛び込んできたのは、OBPに密集した数々のビル。
地上で過ごす日常ではあまり見上げることがないビルですが、地上よりも低い川の位置より思いっきり見上げてみれば、改めてその巨大さに圧倒されるものがあり、近くにいる歩行者も随分小さく見えます。
それは少し不思議な感覚にも感じられる光景です。
いつもの場所が、角度を変えれば違う画に
一方、船からOBPを俯瞰的に見てみると、均等に並ぶ木が目に入ってきます。ワーカーの皆さんからも評価の高い桜並木です。桜満開の時期には、横一列の桜を川の少し下がった目線で眺めるというのも、新しい楽しみ方になりそうです。
桜や紅葉の並木、OBPのビル群、川面…水や緑の自然物に、シャープな人工物が重なりあう画もいつもとは違う様子で見ることができます。
多くのワーカーの方が利用する「プロムナード」を下から仰げば、随分と高さを感じます。
また、当たり前のように渡る道を支える柱が、実は川の中には1本のみ。計算し尽くされた奇跡的な空中通路なのかもしれません。
やはり人気の景色はクリスタルタワービル
「OBPと言えば」で、思い浮かぶ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
寝屋川と第2寝屋川の合流地点から眺めるクリスタルタワービルは、観光客の皆さんも思わず「おおー!」と声が上がり、海外からの観光客にいたっては全員撮るほどだそうです。
空の青さを映し出すビルは、やはりOBPを代表するビルのひとつですね。
課題は発信力。もっとOBPワーカーを巻き込みたい
中田課長はOBPで働かれる方々の乗船も今後増やしたいという想いを語ってくださいました。
「身近ゆえに、『いつでも乗れるからまた今度でいいや。』と思われて結局乗らないままにされがちな水上バスには“乗らないと見えない景色”があります。
今、一番の課題はそんな魅力を伝えるための『発信力』であると思っています。エッジの効いた企画などコンテンツの幅も必要ではありますが、同時に水上バスの魅力をもっと伝えられるようにしていかなければなりません。
より多くのOBPワーカーの方に『乗ろう!』と思っていただけるきっかけを作りたいです。水上バスに乗る面白さを感じていただき、また、OBPの日常の風景として『川の上にはいつもの水上バスがある』というような、ある種安心感のようなものも感じていただきたい想いを持っています。」
ワーカーをさらに巻き込んだ企画に期待!
大阪城や石垣を眺め、橋脚の下をすれすれにくぐりながら川を下る…そんな大阪ならではの体験に加え、地上で何気なく過ごすOBPを水面から見上げる。OBPのいつもの光景、いつもの場所は、視線を変えて見てみれば、新しい発見が次々に出てきます。
大阪水上バスではOBPエリアとのコラボレーション企画なども視野に入れられているとのこと。いつもOBPを利用される皆さんも、OBPのまだ知られていない一面を発見してみてはいかがでしょうか?