vol.25 COOL JAPAN PARK OSAKA新設に学ぶ 観光客が与えてくれる気づき

2019年2月23日、大阪城公園に新たにできたスポット「COOL JAPAN PARK OSAKA」。民間企業13社と官民ファンド「株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」の14社で組成されたクールジャパンパーク大阪株式会社の戸田社長にお話を伺いました。

関西の文化を発信する施設として

関西の文化を発信する施設として

大阪城公園の玉造筋側にオープンした COOL JAPAN PARK OSAKAは、収容人数が異なる3つのホールから成る施設。運営者であるクールジャパンパーク大阪株式会社においては、劇場に関するノウハウを持つ吉本興業株式会社をはじめ、官民ファンドのクールジャパン機構のほか、14の民間企業の出資によって成り立っています。
インバウンドにより大阪城周辺へも観光客の往来が増加した昨今、国内外の方に向けて文化を発信する拠点として誕生しました。

大・中・小、3種類のホール

COOL JAPAN PARK OSAKAは3つの劇場が集まった施設を指します。
劇場では、ミュージカルや演劇、コンサート、落語、古典芸能、音楽ライブなど様々なジャンルのエンターテイメントの上演が可能です。

WWホール

WWホール WWホール

1,138席+車いす6席と、最も大きなホール。プロジェクションマッピングでの映像演出にも対応しているとのことで、コンテンツの演出の幅には大きな可能性が感じられます。
エントランスをくぐった瞬間、目の前に飛び込んでくる横幅19メートルの日本最大級のLEDビジョン映像は圧巻です。

TTホール

TTホール TTホール

702席+車いす4席から成るTTホールは、WWホールと同じスペックを持ちながらも収容人数はコンパクトのため、舞台と客席の距離が近く、間近で演者の細かな表情、動きを感じ取れる臨場感あるホールです。

SSホール

SSホール SSホール

3つの中でスタンディングが可能な場所はSSホール。椅子席最大300席、スタンディングとなれば400~500人収容できます。
4K放送対応完備のため、番組・コンテンツ等のスタジオ収録や配信なども可能とのこと。コンパクトながらこちらもハイスペック。

大阪城公園は変わってきている

大阪城公園は変わってきている

昨今はインバウンドの影響により随分と旅行客が増えた大阪城公園。
2015年には指定管理者の大阪城パークマネジメント株式会社が管理・運営を始め、大阪城の年間入場者数においては2018年までの3年は連続して記録を更新するなど、観光地としての魅力が一段と向上しています。
「ここ5年ほどで、大阪城公園、大阪城は大変わかりやすい観光地として人が集まり出しています。」
と、エリアの変化を語られたのは、クールジャパンパーク大阪株式会社の取締役社長として就任された戸田義人氏。かつて吉本興業でなんばグランド花月の総支配人も務められていたそうです。

道頓堀に代わる文化の発信基地を求めて

ではなぜ「劇場」という形式を選択されたのか、その背景について伺うと、
「吉本興業では5〜6年ほど前より、『新しい大阪の文化街を作ろう』ということを考えの一つとして持っています。大阪は江戸時代より道頓堀が文化の発信基地として栄えてきました。『劇場街』として人を集め、また、人が集まることでお店ができて賑わいを創り出してきたのです。しかし、ここ数十年はその役目を果たせなくなってきている状況があります。そのような中で、新たな発信基地を大阪に作りたいと考えていたところ、今回のプロジェクトに関わる機会をいただきました。」
と、設立の背景をお話くださいました。

劇場施設が集まった大阪唯一のエリア誕生

劇場施設が集まった大阪唯一のエリア誕生

COOL JAPAN PARK OSAKAができたことで、大阪城ホールと合わせるとエリア内には4つのホールができることとなります。
今の大阪市にここまで劇場施設が集合した場所はありません。
「大阪城ホールさんと形態は似ているわけですが、収容人数や利用目的が異なるため訪れる人も変わってきます。COOL JAPAN PARK OSAKAの3つのホールも合わせれば、大阪城公園は劇場型施設の揃った複合的な文化の発信基地として、またひとつパワーアップすると思います。」と戸田社長も仰います。
COOL JAPAN PARK OSAKAの新設は、大阪城公園の位置づけを大きく変えるターニングポイントとなるのかもしれません。

関西を色濃く発信するオリジナルの舞台

関西を色濃く発信するオリジナルの舞台

現在WWホールでは、関西発のオリジナルの舞台「KEREN(ケレン=外連)」が8月まで公演しています。
京都・大阪・神戸・奈良の古今を、殺陣・歌舞伎・日本舞踊・屋台崩し・ダンス・タップ・ミュージカルにデジタルアートが掛け合わされるという、想像が及ばない表現に溢れた舞台となっています。

関西を色濃く発信するオリジナルの舞台

COOL JAPAN PARK OSAKAでは、「大阪の文化の発信地を目指しているんだ」と胸を張って言えることも大切だという考えのもと、このようなオリジナルにも力を入れているそうです。
全国を巡る舞台ももちろん行われますが、大阪らしさを主とした舞台を常に観られる場所として展開されるのは、大阪市民にとっても誇りとなりそうです。

大阪城公園にはまだまだ「点」が必要

これまでは、大阪城・憩いの広場・大阪城ホールの3点が集客のメインであった大阪城公園エリア。飲食・物販エリアのJO-TERRACE OSAKAや以前OBP Styleでも取材させていただいたMIRAIZA OSAKA-JOの誕生に、インバウンドの影響も伴いエリアへ足を運ぶ人は増加しました。
しかし、観光客が「ついでに○○へ寄っていこう」と思った時に立ちはだかる“壁”は一筋縄では解決できません。それは大阪市内唯一の広大なオアシスであるがゆえの、移動距離にあります。

これには戸田社長も「例えば大阪城へツアーバスが停まっていたら、次に観る場所や休憩場所まで、そこそこの距離を歩き、再び戻ってもらうという流れは現実的ではありません。人の動きを変えるのは難しいですね。」と課題を感じられている様子でした。

大阪城公園にはまだまだ「点」が必要

各ホールのエントランスには、カフェスペースがあります。
現在は、開演前後1時間を除いて、このカフェスペースは開放しているとのことです。観光客はもちろん、普段この近辺を通る地元の方やワーカーの皆さんも「コーヒーを1杯」など気軽に立ち寄ることも可能です。

OBPはエリア内で収まっている

戸田社長の視点から見た、今のOBPの印象についてお話いただきました。
「OBPは私自身お仕事で伺うことの多かった土地です。良い意味で大型の施設開発が続々とされた場所である印象です。しかし最近は、梅田〜難波の一直線上で事足りてしまう状況が強く、大阪の人もわざわざ寄るということをしなくなってしまいました。また、『エリアを育てる』という部分においては、昔であれば身銭を切って新たに文化を生み出そうと挑戦する気質があったように感じます。ここ数年はその勢いがなかなか感じられないことでしょうか。」
と、現在OBPの持つ訴求力が弱い点を課題に感じられているようです。
また、
「今起こっているムーブメントは、確実に海外の旅行客によって話題性が高められた結果です。大阪城公園や大阪城天守閣は、私たち地元民が考えている以上に世界から注目されるようになり、そんな場所で暮らしているんだという地元民の誇りも高まりました。昔はブルーシートで溢れた公園だったと、果たして誰が想像できるでしょうか。
人の波は必ずOBPへも影響を与えます。その時に、OBPの店舗・企業さんがどのように訴求すべきか、きっと人が増えたら意識がまたひとつ変わるのだと思います。」
と、OBPの変化にも期待を寄せられました。

大切なことは外の方が教えてくれる

大切なことは外の方が教えてくれる

ここ数年でOBPエリア内を歩く人の数や様子が変わっていることは、多くのOBPワーカーが気づいているでしょう。今後も人の波は広がって行くことが予想され、大阪城公園に集まる人の足をいかにOBPや京橋まで運んでもらうか、今まさにOBPは求められています。
これをOBPエリア内だけで考えるのではなく、大阪城公園、森ノ宮、京橋など隣接エリアとの融合を考えることによって、いかに「面」として人の動きを広げられるかがポイントになるでしょう。
なぜなら大切なヒントは、エリアの外からやってきた観光客が教えてくれるのですから。

Wanted!

OBP Style では、特集記事のネタを募集しています。
OBP内のイベントや活動、人、場所あるいはOBPに対する疑問、もっと知りたいことなど。
大阪ビジネスパークに関するテーマ限定ですが、様々なテーマを掘り上げていく予定です。
ぜひこのテーマをというのがおありでしたらご一報ください。
ご連絡は『OBPスタイル編集部』まで 

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