vol.54 OBP初の美術館で美に触れる歓びと感動を! 山王美術館で心ゆくまで美に向き合う満ち足りたひと時

2021.10.3 更新

2022年9月2日にホテルモントレ ラ・スール大阪の敷地内に移転オープンした「山王美術館」。OBPエリアにおいては初の美術館誕生です。
さて、どのような特徴を持った美術館なのでしょうか?山王美術館について、そして美術の楽しみ方について学芸員の方にご案内いただきながら取材しました。

600点におよぶコレクション群

全て本物、その数600点

山王美術館は、ホテルモントレ株式会社の創立者が50年以上の年月をかけて収集したコレクションを公開・展示する美術館として、2009年8月に「ホテルモントレ グラスミア大阪」22階に開館しました。今回の移転は実に13年ぶりとなります。
コレクション群はなんと600点。さらには、他美術館への貸し出し等を一切行っておらず、ここ山王美術館でしか見られない作品ばかりとのこと。これは足を運ぶ価値がありそうです。

作品世界に没頭できる空間づくりと、文化財を守る使命

作品世界に没頭できる空間づくりと、文化財を守る使命

今回、独立館となった背景には「1つでも多くの作品を、沢山の方にゆっくりと愉しんでもらいたい」という想いが込められています。

展示する作品点数に限りがあったホテルの中での展示。この度美術館を建てたことで、多くのコレクションと出会うことができる場所となりました。
また、美術鑑賞が好きな方が、ゆっくり、じっくりと作品を愉しめるように、展示空間も広くゆったりとしています。

作品世界に没頭できる空間づくりと、文化財を守る使命

鑑賞の際には、ストレスをできるだけ感じないような工夫も。
展示ケースのガラスには透明度が高いものを採用しており、まるで作品に手が届きそうです。
作品を守るために使用している額縁の面材においても透明度が非常に高く、鑑賞者自身の影が写り込まないような低反射のアクリルガラスとなっているため、精細な筆跡のタッチ一つ一つまで見てとれます。

このような鑑賞者が作品世界に没頭できるためのスペースづくりと同時に、美術館として大切な文化財である作品群を未来へ継承していくために守り続ける使命も持っていると学芸員の方は話されます。
「愉しむ」「守る」の両面を兼ね合わせた構想で山王美術館は建てられました。

時代の流れと、作家の変化を楽しめる展示

時代の流れと、作家の変化を楽しめる展示

作品を観ることができるのは、3〜5階の3つのフロア。
2023年1月30日まで行われる開館記念展「山王美術館 ベストコレクション展」では、5階「近代日本画」、4階「近代フランス絵画」、3階「近代日本洋画」という流れで、山王美術館を代表するコレクションが一堂に展示されます。

時代の流れと、作家の変化を楽しめる展示

絵画だけではなく、陶磁器、彫刻も展示されており、これらは近代どころか、中国の唐や宋の時代からの作品も。
どれも作家自身の個性を感じられる作品ばかりが並びます。

ちなみに、近代とは明治〜昭和を指しており、日本画においては、黒船来航以来急激に推し進められた近代化を背景に、西洋画に影響を受けた作品や、一方で古典に戻ろうとする動きのなかで発展した作品など、時代の変遷だけでなく作家自身の変化も見て取れ、様々な楽しみ方ができる展示となっています。

127年ぶりにお披露目となる黒田清輝「夏(野遊び)」

127年ぶりにお披露目となる黒田清輝「夏(野遊び)」

ルノワール、シスレー、藤田嗣治、岸田劉生など一度は耳にしたことがあるのではないかという有名な作家の作品が並ぶ中でも、特に今回の注目は黒田清輝(くろだせいき)の作品。

黒田は、長らくフランス・パリで絵画を学んでいたものの、東京芸術大学の前身である東京美術学校で、西洋画科コースを作る際に帰国。自分自身がフランスで学んだアカデミックな絵の学び方を持ち帰り、絵画を学ぶためのカリキュラムの基礎を築いたため、「日本洋画の父」と言われています。

127年ぶりにお披露目となる黒田清輝「夏(野遊び)」

今回の展示のポスターとしても使用されている「夏(野遊び)」という作品は展示されたのは明治時代に一度だけ。それ以降は、長らく所在不明となっていたそうですが、縁あって山王美術館のコレクションに加わったそうです。
実に127年ぶり、山王美術館では初の公開となります。

127年ぶりにお披露目となる黒田清輝「夏(野遊び)」

「夏(野遊び)」は、一見すると、ある日の風景を切り取ったような作品ですが、実は人物は個々に多くのスケッチをしており、一つの風景の中で人物を組み合わせて描いています。
とても127年前とは思えないみずみずしさを感じられるので、ぜひじっくりと眺めていただきたい作品のひとつです。

眺めるだけでは勿体ない!学芸員さんおすすめの「鑑賞を楽しむコツ」

今回の取材にあたり、館内をご案内いただいた学芸員の方に鑑賞を楽しむコツを伺いました。

「沢山の情報を持った状態で鑑賞すると、その情報が影響して自由な見方ができなくなってしまうことがあると思いますが、本来作品との出会いは、その瞬間しかないものなので、まずは鑑賞者ご自身の主観で、ご自由に感じてもらえたら良いなと思います。
芸術を楽しむことに『正解』はありません。そのとき観た作品や作家に興味・関心・疑問が生まれたら、そこで初めて調べて深堀りしていくと、次の世界へ進めます。
例えば作品を通じて、一人の作家に興味が生まれて調べていくと、今度はその作家の人生の変遷、それに伴う作品の変化など、別の軸でまた楽しみが広がるという、自分だけの楽しみが待っています。」

正解のない美術鑑賞ゆえに、何か正解のような鑑賞方法のヒントを求めてしまいましたが、学芸員さんの返答はさらに深いものが返ってきたのでした。

「名前が知られていなかったとしても、自分が良いと思えばそれで良いと思います。純粋に自分が好きかどうかです。
『今日、持ち帰る作品を1点だけ見つけよう!』と設定してから鑑賞すると、思った以上に真剣に観るようになるので、楽しみが一層増しておすすめですよ。
1点が決まったら、「何故この作品が持ち帰りたくなったんだろう?」と考えてみる。今日の気分なのか、自分の好みに一致したのか、そうすることで、自分自身の発見にも繋がります。
ご自身の想像をふくらませていくことによって、作品の見え方が全然違ってくるうえに、作品を介して自分自身と向き合うこともできます。
本物がこれだけあるので、眺めるだけでは勿体ないですし、ぜひ足を留めて眺めていただき、じっくりと、そして自由に感じて楽しんでいただけたらなと思います。」

アートの楽しみがまたひとつ加わったOBP

過去にOBPStyleでもご紹介してきた各ビルのモニュメントや、いずみホールでの音楽など、OBPには芸術を感じられる要素が点在していましたが、またひとつアートを楽しむ場所が加わりました。

山王美術館の最終入場は16時半ということで、お仕事時間中の方も多いかと思いますが、土日、たまに平日半休を取って、など、芸術鑑賞で静かにゆっくりと過ごす時間をとるのも良いかもしれません。

また、山王美術館〜中之島エリアにかけては川沿いに美術館が分布しているため、美術館をはしごできるアート巡りも楽しめそうです。
芸術の秋がやってきました。過ごしやすい気候の中で、思いっきり美術に浸ってみてはいかがでしょうか。

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