vol.58 ホールの裏側で新たな感動を体験!住友生命いずみホール「オープンハウス」で生まれたお客様との交流

2023.5.10 更新

2023年4月8日、住友生命いずみホール(以降、いずみホール)で、15年ぶりにホール開放イベントが開催されました。
いずみホールファンの方が多く訪れ、イベントは大盛況に終わりました。OBP Style vol.58は、いずみホールの誕生日に行われたこの特別なイベントをレポートします。

世界中の音楽家に愛される「住友生命いずみホール」

世界中の音楽家に愛される「住友生命いずみホール」

1990年4月8日にオープンしたいずみホールは、世界中の音楽家に愛され続け、現在33年目を迎えました。

音響効果を最大限に活かすために設計されたシューボックス型(靴箱のような長方形型)のホールには、フランス・ケーニヒ社製のパイプオルガンを設置。

3,623本のパイプで構成されている、いずみホールのパイプオルガンの音色は、圧倒的な迫力と美しさで聴衆を魅了してきました。
演奏者の技術とともに、この素晴らしいパイプオルガンが、住友生命いずみホールのコンサートをより一層魅力的なものにしています。

コロナ禍で途絶えたお客様との繋がりを再構築するイベントを

音楽の素晴らしさを分かち合う場として、およそ396万人の方が訪れたいずみホール。
33回目の開館記念日に、ホールの裏側を開放する「住友生命いずみホール オープンハウス」を開催しました。 ホールを開放するイベントは、実に15年ぶりとのこと。
「ホールを知る」「ホールを楽しむ」をテーマとしたイベントを開催するに至るまでの想いを、いずみホールを運営する一般財団法人住友生命福祉文化財団 企画営業部 広報営業グループリーダー北嶋さんにお話を伺いました。

コロナ禍で途絶えたお客様との繋がりを再構築するイベントを


北嶋さん:
1990年の開館以来、平成の時代とともに歩んできたいずみホールでしたが、残念ながら節目の30周年はコロナ禍でこのようなイベントをすることができませんでした。
しかし、最近は徐々に希望の光が見え始めてきたため、再びお客様と交流する機会をもつのによいタイミングだと考え、オープンハウスを開催することにしました。 コロナ禍でお客様との繋がりが途絶えてしまった現状を受け、このイベントを通じて、再びお客様との交流を深め、いずみホールが提供する音楽文化の魅力を再認識していただければと思っております。

逆転の発想からうまれたイベント企画

逆転の発想からうまれたイベント企画

今回のイベントでは、普段見ることのできないホールの裏側を公開することで、パイプオルガンを間近に見ることができる見学会や、バックヤード見学など、貴重な体験ができる様々な企画が用意されています。
このような企画が生まれた背景には、従来とは逆のアプローチがありました。

北嶋さん:
15年前のイベントでは、舞台上ではもちろん、ロビーでもコンサートを行いました。しかしその分、演奏者はもちろん、スタッフの移動も多くなるため、お客様に舞台上に上がっていただくことはできませんでした。 今回のオープンハウスは逆の発想で、裏側の様子も含めて全てを見ていただけるように企画しました。舞台の上や、リハーサル室、控室、ピアノ庫など、普段見ることのできない場所もご覧いただきたかったのです。

ただ、そうなると当然、オーケストラなどの楽器を多く使う大規模なコンサートはできません。ですので、室内楽とパイプオルガンのミニコンサートにすることになりました。
ヴァイオリニストの佐藤 一紀さんとピアニストの碇山 典子さんに室内楽を、パイプオルガンはミシェル・ブヴァール・マスタークラス受講生から山司 恵莉子さん、塩澤 真輝さんにオファーし、演奏する曲目やプログラムも考えていただきました。 春らしい曲目と合わせて、演奏者がそれぞれいずみホールで響かせたいという想いが込められたプログラムになり、お願いした私どもとしても胸が熱くなりました。

想いがつまったオープンハウス

いずみホールのスタッフのみならず、演奏者の想いが込められたオープンハウス。開催当日は朝から長蛇の列ができ、700人を超える来場者が訪れました。普段見ることのできないホールの裏側を覗くことができるとあって、予想を上回る人数が来場したようです。
中でもとくに人気だったのが、パイプオルガンの見学ツアー(1回につき20名限定)。参加者はパイプオルガンの演奏台へ上がり、パイプオルガンの仕組みを解説してもらえるという特別な体験です。

想いがつまったオープンハウス


北嶋さん:
ホールとしても、パイプオルガンの魅力をたくさんの方に届けたいという想いがありました。
今回、たくさんの方々に関心を持っていただけたことは本当にうれしいです。
また、パイプオルガンコンサートの演奏者のおふたりに解説を担当していただきました。熱心に内容を考えてくださり、貴重な体験を提供してくださったことに感謝しています。

パイプオルガンの迫力ある音色に包まれる見学ツアー

       パイプオルガンの迫力ある音色に包まれる見学ツアー

パイプオルガンは、演奏する曲に応じて音色を変えることができるため、多彩な音楽表現が可能です。

見学ツアーでは、パイプオルガンの複雑な構造について詳しく解説がありました。
異なる音色を奏でるさまざまな種類のパイプ、音色や音量を調整するペダルの仕組みなど、オルガニストが実際に音を鳴らしながら、丁寧に教えてくださいました。
また、参加者は演奏席にも座ることもでき、自分でオルガンの音を出すという、大変貴重な体験も。迫力あるオルガンの音色に包まれる贅沢な時間に、参加者だけでなく、ホールにいるお客様全員が楽しまれていました。

いずみホールが誇る、貴重な楽器の数々

       いずみホールが誇る、貴重な楽器の数々

フォルテピアノ:
ベートーヴェンと同時代(1820年代)の製作家ナネッテ・シュトライヒャー作のオリジナル

いずみホールが誇る、貴重な楽器の数々

チェンバロ:
弦を叩いて音を出すピアノとは違い、弦をはじいて音を出す

いずみホールの所蔵楽器は、パイプオルガンだけではありません。ベートーヴェンと同時代、1820年代のナネッテ・シュトライヒャーが製作したフォルテピアノ(古典ピアノ)、典雅な響きが特徴のアトリエ・フォン・ナーゲル社製(フランス)のチェンバロなど、他のホールでは出会うことのできない、個性的な楽器が揃います。 これらの楽器は、ステージの裏にあるピアノ庫で見ることができました。

音響効果を追求したリハーサル室の工夫

音響効果を追求したリハーサル室の工夫

本番前の音出しなどに使用されるリハーサル室は、演奏家にとって重要な空間です。

いずみホールでは、音の質を向上させるためにさまざまな工夫が施されています。
まず、音の共鳴を防ぐため、床と天井、壁同士が並行にならないように設計されています。これにより、音が床や天井に反射せず、より自然な音響空間が作られます。


音響効果を追求したリハーサル室の工夫

さらに、防音のために壁に穴が開けられており、外部からの騒音を遮断し、内部での音響効果を最大化しています。 このような工夫によって、いずみホールのリハーサル室は音楽家たちにとって理想的な環境になっているのです。

演奏者が集う控室

演奏者が集う控室

指揮者や演奏者が使用する控室も開放されていました。個室の控え室にはピアノが置かれており、リハーサルや本番前の指ならしができるようになっています。

演奏者が集う控室

演奏前や休憩中にリラックスできるような、快適な空間で、まさに演奏者たちが安らぎを見つける場所と言えるでしょう。
また、この空間から本番の舞台に上がるのだという臨場感も味わうことができ、まるで自分が演奏者になったような気分も味わえました。

舞台上では春の音色が響く

       
     舞台上では春の音色が響く

ミニコンサートがない時間帯は舞台上も開放。
いずみホールが所蔵するスタインウェイ、ベーゼンドルファー、ヤマハの計4台のピアノが展示されていました。

舞台上もなかなか上がる機会がないため、多くの方が記念撮影をされていました。
また、いずみホールの醍醐味である音の響きを堪能するミニコンサートでは、パイプオルガンと室内楽が交互に演奏されました。
このコンサートでの選曲は、北嶋さんがおっしゃったように、春らしさと、演奏者たちのいずみホールでの演奏への想いが込められたもので、多くの聴衆を魅了していました。

お客様とスタッフが織りなす交流のひととき

       お客様とスタッフが織りなす交流のひととき

OBP多くのお客様が詰めかけたオープンハウス。
豊富なプログラムで満足度の高いイベントとなり、大盛況に終わりました。

北嶋さん:
とくにうれしかったのは、お客様と交流できたことです。 普段、ホールに来られるお客様は、音楽家の演奏を聞きに来られるわけです。
我々スタッフは準備をしてお迎えをする立場ですので、お客様の興味の対象になることはありません。 今回はホールの裏側を見ていただくことで、ホールやスタッフを近くに感じていただけたのではないかと思っています。
実際、バックヤードの見学ルートでは、お客様がスタッフに質問を投げかけてくださり、多くの交流が生まれました。 さらにありがたいことに、「楽しかった」「感動しました」などの感想もお声がけいただき、我々スタッフとしても、イベントを開催してよかったと心から感謝しております。

OBPエリアの潤いを提供する場所として

OBPエリアは、ビジネスと文化が融合した地域です。その中、いずみホールは、音楽学者の礒山 雅先生と堀 朋平先生がかかわるホールとして、一貫してコンセプトを大切にし、クラシック音楽を提供し続けてきました。

     OBPエリアの潤いを提供する場所として


北嶋さん:
クラシック音楽はハードルが高いと思われている方も多く、若い世代の方からは敷居が高くて一歩が踏み出せないという声を耳にします。 そこで、若い世代の方にもっと気軽にクラシックを楽しんでいただけるよう、新年から、「U-30チケット」を用意しました。
小学生から30歳以下の方を対象に、いずみホール主催の一部の公演を、特別価格でチケットをご購入いただけるものです。 学生だけの割引だけでなく、これからを担う若いビジネスパーソンにも気軽に音楽に触れていただくための取り組みです。

OBPで働く方にも、ぜひ利用していただけたらと思います。 チケットをきっかけに、クラシックの世界へ一歩を踏み出すきっかけ作りになればうれしいです。また、クラシックと聞くと構えてしまいがちです。
難しいところもあるかもしれませんが、まずは、心で感じていただければと思います。 クラシックのみならず、音楽を聴いて感動し、
心が動かされるというのは、非常に重要な要素です。そして、どこで感動するかは人それぞれです。
いずみホールは、「感動」というものを、それぞれに持って帰っていただける場所です。

今後もOBPエリアの潤いを提供する場所として、より多くの方へ音楽の喜びを届けることを使命に取り組んでいきます。

  

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